行政とデザイン?

「行政とデザイン」は、公共サービスを切実に必要としている人たちを見据え、行政におけるコミュニケーションデザインの改善に取り組んでいくプロジェクトです。

背景・問題意識

近年、日々の暮らしに欠かせない公共サービスの制度や実施主体が複雑になり、サービスを利用する側(市民)に、高度な知識やリテラシーが要求されるようになってきました。

公共サービスの中でも、セーフティーネットとしての役割を担う「行政」のサービスでは特に、対象者にきちんと情報が届くよう編集や表現の工夫をすること、また、市民とより相応しい関係性を育むこと ―すなわち「デザイン」― が、今まで以上に必要な時代になってきています。

しかしその一方で、行政においては、民間セクターよりもデザインが行き届かない状態になりがちです。

例えば、お店のウェブサイトは当たり前のようにデザインされるのに、児童相談所のウェブサイトは制作の必要性すら問われていないこともあります。

近年では、地方創生なる言葉が広がったように、行政の中でも地域を魅力的に見せようとするデザインは、よく見られるようになりました。

でも例えば、困難を抱えた方々の接点となる役所の窓口の書類は、デザインの工夫がされているでしょうか。
生活保護の仕組みや、里親制度や、子育て支援制度など、切実な状況にある人たちにとって必要とされる情報が、対象者にしっかり届けられているでしょうか。

私たちは、以上のような課題に向き合い、デザインを用いて課題を乗り越えていこうと考えました。

デザインは、経済的価値や新しさ、インパクトなどがなじみやすい領域に浸透しがちです。よって本プロジェクトでは、地域活性化や産業振興、文化行政などのデザインが浸透しやすい分野ではなく、主に教育・福祉行政分野を対象とします。

また、行政と市民あるいは官と民、という対立構造を前提とするのではなく、行政で働く人たちもまた「市民」である事実を大切にします。

「市民参加」の先の、行政とのゆるやかな協働を意識しつつ、切実に公共サービスを必要としている人たちを見据えたコミュニケーションデザインと、その持続を支える仕組みづくりに取り組んでいきます。

設立:2014年3月


九州大学田北雅裕研究室で進めていた本プロジェクトは、2022年8月に「福祉とデザイン」と改め、新たに設立した「一般社団法人 福祉とデザイン」にて取り組んでいます。詳細は下記ウェブサイトをご覧ください

福祉とデザイン: https://welfare-design.org


運営/問い合わせ先:

九州大学 田北雅裕研究室
mail: takita*local-design.org (*を@に変更してください)
https://trivia.gr.jp